【曖昧解消】暗号通貨のハードフォークが起こる原因とは
2017年8月にも、ハードフォークという言葉が注目を浴びました。そして今年の2018年11月、再びハードフォークが話題となっています。
多くの方はハードフォークと聞くと、思い浮かべることがあるようです。
『ハードフォーク』=『新しいコインが貰える』
確かに、ハードフォーク時に新しい通貨がもらえることは間違いありません。
しかし、この機会に是非さらに踏み込んだ知識もつけておきましょう。
ハードフォークの背景を読み解くことで、暗号通貨全体の課題や将来性を垣間見ることができます。
暗号通貨(仮想通貨)を活用して資産を殖やすことを考えると、長期的な視点が大切です。
スケーラビリティ問題(送金速度の問題)
そもそも、暗号通貨が分裂するという「ハードフォーク」は、なぜ起こるのでしょうか。
2017年8月のハードフォークは、ビットコインがハードフォークし、ビットコインとビットコインキャッシュに分裂しました。
– 参考映像(特別講師:Haseeb Awan氏)
ビットコインキャッシュ誕生の真実とは
ビットコインのハードフォークが発生する当時、ビットコインの送金速度は非常に遅い状態となっていました。
通常、10~15分で完了すると言われているビットコインの送金が、遅いときは数日かかってしまうほどでした。
原因は、『ビットコインの容量不足』です。
ビットコインのブロックチェーンの容量不足により、世界中の多くのユーザーによるトランザクションの処理が間に合わない状態となっていたのです。
この『容量不足による送金速度の問題』が、スケーラビリティ問題といわれる問題です。
スケーラビリティ問題を解決するために、様々な議論が繰り返され、多くの解決方法が検討されました。
しかし、どの解決方法を採用しても、コミュニティ内でメリットがある人とそうでない人に別れてしまい、全員の意見をまとめることが難しい状況が続いていました。
そのようななか、ビットコインのコミュニティの一部のグループが独自にブロックチェーンの容量を拡張した暗号通貨を作り、ビットコインキャッシュへと分裂させたのが、2017年8月のハードフォークでした。
ビットコインキャッシュとビットコインSVの対立分裂
そして、2018年11月に、前年に分裂したビットコインキャッシュがさらにハードフォークにより分裂することとなったのです。
2018年11月は、ビットコインキャッシュ(BCH)がハードフォークすることで、ビットコインキャッシュ(BCH)とビットコインSV(BSV)の2つへ分裂しました。
この分裂の原因は、わかりやすくいうとビットコインキャッシュの『コミュニティ内の人の喧嘩』です。
コミュニティのとある一派は、ビットコインキャッシュの機能を拡張し、さらなる進化を遂げた暗号通貨にしていきたいという意思がありました。
しかし、別の一派がその機能拡張に反対し、違う方針へと進んだ結果、ビットコインSV(BSV)へと分裂することとなったのです。
機能拡張に反対した理由としては、機能拡張の内容が『本来のビットコインの理想から外れてしまう』ということでした。
ビットコインSVの『SV』とは、『サトシ・ビジョン』の略であり、ビットコインを作ったとされるナカモト・サトシ氏の意思を尊重するという意味です。
『分散型管理によりユーザーにとって平等な通貨を実現させること』がナカモト・サトシ氏が目指したものであり、ビットコインキャッシュの方針はこの理想と異なる方向へ進んでいるという指摘から、コミュニティ内で対立が発生しました。
真っ向から意見が別れてぶつかり、対立はどんどん過激化する形となり、11月にビットコインキャッシュがハードフォークし、分裂することとなったのです。
ハードフォークの原因は人の対立
2017年8月におけるビットコインの分裂も、2018年11月におけるビットコインキャッシュの分裂も、要は『人のグループの対立』が原因です。
暗号通貨は分散型管理であり、権限を持った管理者が存在しないものです。
そのため、その暗号通貨を牽引するコミュニティ内で意見が対立した時に、最終的な決裁者が存在しないこととなります。
意見をまとめて決定を行う人がいないからこそ、対立したグループはそれぞれの道へを進んでしまい、結果としてハードフォークが発生してきました。
一般的に認知されていないマイナーなハードフォークも数多くあり、一概にすべての原因が人の対立であるとは言えませんが、大きく報道されてきたハードフォークの原因は人の対立が原因だと考えて良いでしょう。
例えば、イーサリアムのハードフォークにより誕生したイーサリアムクラシックも、コミュニティ内の意見や方針の対立が一つの要因となっています。
ハードフォークを読み解くと、『分散型管理』であることの難しさも垣間見ることができるのです。
管理者がいないからこそ革命的な技術とされますが、それ故の問題点もあるのです。
この『人の統制』は、今後のブロックチェーンの課題の一つとして捉えられている状態が続いています。
執筆者
![]() |
松永 俊紀 株式会社アプリ・ライフ・クリエーション代表取締役 国内外のブロックチェーン開発者や仮想通貨のマーケッターと情報を共有し、日本国内の一般層における仮想通貨リテラシーの向上を目指しコンテンツを配信中。 紛失リスクの高い仮想通貨の資産管理に特化し、セミナー講師やコンサルタントとしても活動を進めている。 |
---|